(生物系)博士はつらいよ

某国立大学博士課程学生の仮面を被っているケツドラマーの日常

机の上に、折り畳み傘のケースが置いてあった。

そこに収まるはずの折り畳み傘が既に失われてしまったことを、私は知っている。なんせ、電車の中に置いてきてしまったのだから。

主人の帰りを待つかの如くそこに佇むケースを見て、私は憐れみ、そして寂しさを感じた。

11月のある雨の日、私は新しい傘を持って意気揚々と外出するのであった。

すば